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2010年5月10日 (月)

『キッチン』 絶望と希望の間

『キッチン』を読んだ。

ずっと読んでみたい本だったから。

それから、大好きな人の本棚にあったから、借りて帰ってしまった。


『キッチン』の中には、

キッチン

満月―キッチン2

ムーンライト・シャドウ

の3つの物語が収められている。


読みながら、ここに描かれているのは、

絶望 と 希望 の間の 葛藤 なんだと思った。


深い悲しみの中にあって、現実を受け入れることができない状況にいるのに、

朝はまたやってきて、生活は続いていく。

生きている実感なんてないのに、生きていくしかない。


人は過去を変えることができない。

どんなに前に進みたくなくたって、時間は前にしか流れていかない。


そういうことを、ばななさんは、「美しい」という。


いつか、そういう風に感じられるのだろうか?


あとがきに、ばななさん自身が小説を通じて届けたかったという信念が紹介されている。

傲慢さを自覚して、っていうのが、鋭くて優しい。


「感受性の強さからくる苦悩と孤独にはほとんど耐えがたいくらいにきつい側面がある。
それでも生きてさえいれば人生はよどみなくすすんでいき、きっとそれはさほど悪いことではないに違いない。
もしも感じやすくても、それをうまく生かしておもしろおかしく生きていくことは不可能ではない。
そのためには甘えをなくし、傲慢さを自覚して、冷静さを身につけた方がいい。
多少の工夫で人は自分の思うように生きることができるにちがいない」

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